全国各地の平安~室町時代の遺跡で出土し、これまで釘や農耕具の一部だと考えられていた棒状の鉄製品が、武器や農具の素材としてアジア各地で流通していたものであることが近年の研究で明らかになってきた。沈没船からの発見も相次ぎ、中国で大量生産され、輸出されたとみられる。中世の日本で刀やよろいの原料となって「武士の世」をつくったのは、中国産の鉄だったのかもしれない。
九州国立博物館(九博、福岡県太宰府市)では、13日まで企画展示「アジアを変えた鉄」が開かれた。中国製の青磁皿など希少な陶磁器が並ぶ中、会場中央の展示ケースに置かれたのは、同県朝倉市・才田(さいた)遺跡で出土した赤くさびた鉄製品。12~13世紀の在地領主の館跡である同遺跡では、居館を囲む溝から多数の棒状の鉄製品が出土した。
同展は桃崎祐輔・福岡大教授…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル